「こわいわるいうさぎのおはなし」
ピーターラビットの絵本 第2週⑥
ビアトリクス・ポター 作・絵
石井桃子 訳
福音館書店
審議!?煙に巻かれたような珍作
前回の「モペットちゃんのおはなし」(第2集⑤)と同様、短くシンプルな絵本です。
うさぎのお話ですが、ピーターラビットやその周りのうさぎが出るわけでもありません。
名もない「いいうさぎ」と「わるいうさぎ」と「人間」が出てきます。
いいうさぎが持っていたニンジンをわるいうさぎが横取りしようとするお話。
鉄砲を持った人間がニンジンを奪った悪いうさぎを仕留めようとします。
その後、煙に巻かれたような不思議な展開が起こります。
私なら「審議!」って言って、読者の皆さんと討論会でもしたい結末です。
ポターの絵本は人間があまりはっきりと出てきません。
(初期に登場するマクレガーさんですらぼんやり描かれています)
このお話には鉄砲をもった男の人が何度もはっきりと描かれ登場します。
短いお話ながらも、どこか忘れられない珍作と思います。
「ほんとうに悪いうさぎの話が読みたい」と、小さな子どものリクエストから生まれた作品。
ポターが小さな子どもの隣に座り、即興でおはなしをしてあげているような風景を想像してみると、実はほっこりする絵本です。
✻第2集のかわいい猫モペットのおはなし。短いので小さなお子さんにも。

子猫のモペットVS賢いねずみ「モペットちゃんのおはなし」という絵本の紹介です。...